
断熱改修のご相談でよくあるのが、
「内窓を付けたら結露が減ると思ったのに、別の場所が湿っぽくなった」という声です。
これは珍しいことではありません。
結論から言うと、結露は“消える”というより、条件が変わると「出る場所が移動する」ことがあります。
前回(#5)でも触れたように、断熱改修は材料だけでなく、
施工や湿気の扱い方で差が出ます。
今回は、断熱改修で起こりやすい結露の落とし穴と、失敗しにくい対策をわかりやすく整理します。
結論:断熱すると、家の中の「冷える場所」が変わる
結露は、温度と湿気のバランスが崩れたいちばん冷える面に出ます。
結露の条件はシンプルで、
・空気が湿っている(湿気が多い)
・表面温度が低い(冷たい面がある)
この2つがそろうと発生します。
たとえば内窓を付けて窓まわりの温度が上がると、今まで窓に出ていた結露が減ることがあります。
その一方で、家の中に別の「冷えやすい場所」や「空気が動かない場所」が残っていると、今度はそこに結露が出やすくなります。
つまり、断熱改修で結露がなくなるというより、
結露が出る場所の条件が変わる、というイメージです。


落とし穴① 窓は良くなったのに、押入れがカビる
窓の表面温度が上がると、結露は減りやすくなります。
ただ、その分だけ湿気の負担が換気の弱い場所に集まりやすくなることがあります。
特に押入れ・収納の中は、空気がこもりやすく、壁面が冷えていると湿気がたまりやすい場所です。
見えにくいので、気づいた時にはカビ臭さや黒ずみで発見されることもあります。
落とし穴② 北側の壁だけ黒ずむ
北側の壁は日射が入りにくく、冷えやすい面です。
そのため、断熱が弱い部分や、空気が停滞している場所があると、表面温度が下がって結露しやすくなります。
とくに家具をぴったり付けている壁は、空気が動かず、黒ずみやカビが出やすいポイントです。
「窓はきれいになったのに、壁だけ気になる」というときは、ここを疑うことが多いです。
落とし穴③ 家具の裏だけジメジメする
結露は、家全体で均一に出るわけではありません。
空気が動かない“密閉ポケット”のような場所に集中して出ることがあります。
・大きな家具の裏
・カーテンの奥
・収納の隅
・換気が弱い部屋の角
こうした場所は、断熱の良し悪しだけでなく、空気の流れの悪さが原因になっていることも多いです。
「その場所だけジメジメする」は、空気が止まっているサインです。


対策は「断熱」+「湿気の逃げ道」をセットにする
断熱改修で大事なのは、断熱だけで終わらせないことです。
換気・空気の流れ・室内の湿気管理までセットで考えると、結露リスクは大きく下げられます。
対策のポイントは次の3つです。
1)換気が弱い場所は、局所換気の考え方を入れる
脱衣所・トイレ・収納まわりなど、湿気がたまりやすい場所は局所的な対策が効きます。
「家全体の換気があるから大丈夫」ではなく、湿気が発生する場所、湿気がこもる場所を意識して逃げ道をつくることが大切です。
2)押入れ・収納は、空気が回る工夫をする
押入れや収納は、断熱以前に空気が動かないことが問題になるケースが多いです。
・すのこを使う
・壁にぴったり詰めすぎない
・少し隙間をつくる
・定期的に扉を開けて空気を通す
こうした小さな工夫でも、湿気の偏りを減らせます。
収納内の結露は、「断熱不足」だけでなく「通気不足」が原因のことも多いです。
3)気密が上がるほど、換気はもっと重要になる
断熱改修で気密性が上がると、外気のすき間風は減って快適になります。
その反面、換気が弱いと湿気が外へ出にくくなります。
つまり、気密が良くなるほど「計画的に湿気を逃がす」ことが必要になります。
ここをセットで考えないと、快適になったはずの家で別の場所に結露が出る、ということが起きやすくなります。
まとめ:結露が出る場所は、家の弱点が見えるサイン
断熱改修をしても、結露がゼロになるとは限りません。
でも、結露の出方はコントロールできます。
大事なのは、
「どこが冷えているか」
「湿気がどこにたまっているか」
を見える化して、弱点をつぶしていくことです。
結露を単なる“窓の問題”で終わらせず、家全体の温度差と湿気の流れで考えると、改修の失敗はかなり減らせます。
断熱と一緒に、換気・湿気の逃げ道まで整える。
これが、長く快適に暮らすためのポイントです。

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ワンポイント(相談前にできること)
結露する場所をメモしておく
(窓だけでなく、押入れ・北側の壁・家具の裏も)
「いつ」「どこに」「どれくらい出るか」が分かると、原因の特定がかなり早くなります。

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失敗しない確認(たった1つ)
断熱後の結露は“場所が変わる”ことがある
だからこそ、
断熱と一緒に「換気・湿気の逃げ道」までセットで考えるのが安全です。
「窓の結露が減った=全部解決」ではなく、
家全体で湿気の行き先を見ておくと、あとで困りにくくなります。

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次に読む(シリーズ)
・前回:施工で差がつくポイント5つ(気流止め/取り合い/配線)|断熱改修 #5
・次回:断熱改修 #7 住みながら断熱改修の現実(範囲・工期・ストレス)










