断熱改修は、断熱材の種類や厚みだけで決まると思われがちです。
でも実際は、施工の細部で体感が大きく変わります。
同じ材料、同じ予算でも、
気が動く道が残っていると寒い。
取り合い(境目)が甘いと結露が出る。
この差が、改修の満足度を分けます。
今日は、現場で差が出やすいポイントを5つに絞って解説します。
ポイント① 気流止め(これがないと断熱が効きにくい)
断熱材より先に、空気の通り道を止める。
壁の中、天井裏、床下。ここに空気が流れる道が残ると、断熱材の横を風が通ってしまい、体感が伸びません。
特に多いのが、階間や間仕切りの上下で空気が回ってしまうケースです。
見るポイント
・階間、間仕切りの上下で空気が抜けるところ
・天井裏→壁の中、床下→壁の中、という縦の抜け
ポイント② 取り合い(断熱・気密の弱点は“境目”に出る)
弱点は材料の真ん中ではなく、必ず境目に出ます。
断熱材が入っていても、窓まわり・梁まわり・柱の欠き込み・ユニットバスまわりなど、取り合い(境目)が甘いと、そこから冷気も湿気も入りやすくなります。
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・窓まわり(窓台、枠の角、下端)
・浴室/脱衣所の壁・天井の取り合い
・梁、柱、配管スペースなど欠けができる場所
・巾木まわり、玄関框、土間付近
ポイント③ 配線・配管の貫通部(小さな穴が意外と効く)
小さな穴ほど、積み重なると大きな漏気になります。
コンセント、スイッチ、ダウンライト、換気ダクト、給排水。
貫通部は数が多いので、処理の丁寧さが効きます。
「ここは小さいから大丈夫」ではなく、数が多い場所ほど、きっちり塞いだ方が体感に出ます。
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・コンセント、スイッチの裏
・天井の照明、点検口まわり
・換気ダクト、配管の貫通部
ポイント④ 点検口・設備まわり(あとから触る場所は緩みやすい)
開け閉めする場所は、気密が崩れやすいです。
天井点検口、床下点検口、分電盤、配管点検口など。ここは将来メンテで触るので、最初から気密を保つ作りにしておくのが大事です。
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・点検口の枠まわりがスカスカになっていないか
・パッキン、気密材の納まりが省略されていないか
・引込箇所の処理、貫通部処理が雑になっていないか
ポイント⑤ 防湿・透湿の考え方(結露は施工のミスで起きることが多い)
湿気は材料だけでなく、連続性で制御します。
断熱改修後に結露やカビが出るのは、材料のせいというより、防湿層が途切れている/空気が動いていることが原因のケースが多いです。
湿気は拡散よりも、空気の移動に乗って大量に動きます。
だから、気密・貫通部処理・取り合いの丁寧さが、結露対策にも直結します。
まとめ:断熱改修は「見えない場所」の品質で決まる
断熱材は、入れた瞬間にはよく見えます。
でも住み心地は、数ヶ月〜数年かけて差が出ます。
だからこそ、見えない場所を残さないことが大切です。
気流止め、取り合い(境目)、貫通部処理
このあたりを丁寧に整えるほど、暖房の効き・温度ムラ・結露リスクが変わります。
✅ ワンポイント(工事前に決める)
工事前に、残してほしい写真を3枚決める
・天井点検口(断熱・気密の状態が見える)
・床下点検口(床下/配管まわりが見える)
・窓まわり(取り合いの良し悪しが出る)
✅ 失敗しない確認(たった1つ)
見えない場所ほど写真が命(後で検証できる)
工事中は見えたけど、仕上げたら分からない。
これが断熱改修の一番の落とし穴です。
写真があれば説明もできるし、後で問題が出ても原因が追いやすくなります。
✅ 次に読む(シリーズ)
・前回:断熱改修 #4「気密測定は何がわかる?C値のよくある誤解をほどく」
・次回:断熱改修 #6「結露は移動する。断熱したのにカビが増える家/増えない家の違い」










